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【Books】
◆「幸福の王子 ワイルド童話全集」 オスカー・ワイルド著 新潮文庫
"The Happy Price And Other Tales" Oscar Wilde
一度は読んだことがあるかもしれない「幸福の王子」をはじめとしたワイルドの
珠玉の短編集。
童話、というタイトルですが子供向けにしてはちょっと残酷であったりする。
全編を貫く献身的な自己犠牲の精神は作中の俗物の存在によって更に際立つ。
果たしてワタシは王子やナイチンゲールであるのか。それとも粉屋の大男か
スペインの王女なのだろうか。
人間の本質とはどちらでもあり、どちらでもなかったりするのだろうか。
(2004.6.7)
◆「アンジェラの灰」上下 フランク・マコート著 新潮文庫
"Angela's Ash" Frank McCourt
アイルランド西南部の都市リムリックを舞台とした作者フランク・マコート氏自身の回想録。
1930年代以降のアイルランドに住む彼と彼の家族の生活を描いているのですが、
あまりにも凄惨で、冗談ではないかと疑ってしまうほどの底辺の生活を送る彼ら。
文体はとても淡々としていて、決して自分のいる境遇を哀れんだり、恨めしく思っている
節はなく、かなり第三者的な文章。そばを手繰っているような感じ、スルスルと入る。
フランク少年は環境を楽観的に見ている訳ではないが、あまりにニュートラルに書かれて
いるので、希望すら感じる。
当時のアイルランドに住む人々が全て同様な生活をしていたとは思えないが、
少なからず当を得ていることは間違いない。当時の生活のありようを知ることも出来よう。
(2004.2.2)
◆「アイルランド問題とは何か イギリスとの闘争、そして和平へ」
鈴木良平著 丸善ライブラリー
友人に「アイルランドが好き」だと言うと、「IRAとかテロとか恐くない?」 と言われます。
でも一番恐ろしいのはそういった現実の暴力よりも(無論暴力はイヤです)、
それらの暴力や確執を生み出してしまった事実に対する無理解・誤解・無知なの
ではないでしょうか。
この本ではタイトルの通り、日本人にとって遠くて遠い国アイルランドの現実の一側面を
近代以降のアイルランドの歴史と絡めて分析しています。
データとしては若干古くなってはいるものの、その観点は決して色あせるものでは
ありません。
一つの民族が二つに分かれていがみ合い、殺しあう現実は我々には想像することが
難しいかもしれませんが、一読の価値はあります。
◆「TRAVEL GUIDE IRELAND」 EYEWITNESS社
有体に言えば旅行ガイドです。
しかし!単なるガイドブックとあなどるなかれ。フルカラー印刷なのは勿論、
各地の名所や宿、パブなどが載っているのも当たり前。
何が良いのか、というと実際手にとって貰わなければ分かりにくいですが、
全体のデザイン、漂う雰囲気などかなりグッとくること間違いなしです。
写真が惜しげもなく使われており、地図や建造物を俯瞰して描いてある
イラストなどは見ているだけでGrafton Streetの雑踏を歩いている気になるんだ。
値段は結構張りましたが(8年前14.99アイリッシュポンド也)今でもしばしば紐解く1冊。
旅行中よりも帰国してからのほうが良く眺めてます。
◆「物語アイルランドの歴史」 波多野裕造著 中公新書
かつて駐アイルランド大使としてアイルランドに赴任していた著者が
その慧眼をもってクロニクル的に記したアイルランドの歴史。
堅苦しい形式ではなく、歴史・文化・人々を理解する上で役に立つ。
これからアイルランドに触れたい人にとってはうってつけの入門書。
ワタシの恩師であるドイル神父も本書執筆にあたりご活躍なされています。
◆「ダブリン市民」 ジェイムズ・ジョイス著 新潮文庫
"DUBLINERS" James Joyce
アイルランドを代表する作家の作品。ジョイス当時のアイルランドの世情や
人々の考え方を知らないと理解するのは難しいかも。
本当は原文で読まないとダメだろうなぁ。
「ユリシーズ」ほどではないだろうけれど難しそう。
◆「ディングルの入り江」 藤原新也著 集英社
アイルランド西部を舞台にした儚さ、哀しさを漂わせた小説。
写真家藤原新也氏ならではの独特な視点から綴られた作品。
◆「風のフリュート」 藤原新也著 集英社
上記「ディングルの入り江」の舞台であるアイルランド西部を撮りおろした写真集。
小説の世界観・空気を余すところなく伝えた作品。
◆「愛蘭土紀行T・U 街道をゆく30、31」 司馬遼太郎 朝日文芸文庫
街道を行くシリーズ、アイルランド上陸。
どうしても英国との対比でアイルランドを解釈しようとする見方が支配的なのは
仕方ない事なのでしょうかね。
街並みや言葉、人々の中の微かな残照から歴史を振り返り展開してみせるのは
さすがは大作家と感心です。
【Movies】
◆「マイケル・コリンズ」 Micheal Collins
監督:ニール・ジョーダン
主演:リーアム・ニーソン(as マイケル・コリンズ)
アラン・リックマン(as イーモン・デ=ヴァレラ)
アイルランドが大英帝国から自由と自立を得る上で重要な役割を果たした男
マイケル・コリンズの半生を描いた作品。
日本では殆ど知られることのない彼も、アイルランドでは今でも英雄のように語られる
ことがあると聞きます。
彼の行動は時には暴力的であり、殺人者・テロリストの先駆けと呼ばれることも
ありますが、彼の行動がアイルランドの独立に多大な影響を与えたのは事実だと
思います。彼自身、破壊工作を得意とし作戦司令官として優秀だったのでしょうが、
誰よりも平和を望んでいたこともまた事実なのではないかと信じたいです。
自分自身も忌み嫌う暴力へ駆り立てる英国人が憎いという節にグッときました。
それにしてもアラン・リックマンのデ=ヴァレラに似てること。
◆「ウェイクアップ!ネッド」 WAKING NED
監督:カーク・ジョーンズ
主演:イアン・バネン(as ジャッキー・オシュア)
デヴィッド・ケリー(as マイケル・オサリバン)
アイルランド南部の島のタリーモア村に不意の幸運と大きな騒動が舞い込む。
皆が心待ちにしている土曜日の夜、それは宝クジの当選が発表される時間。
当選のショックで死んでしまったネッドに成り代わって当選金額(689万ポンド)
をネコババしようとするジャッキーとマイケル。ついには52人の村人を巻き込む騒ぎに。
大きな事件をテーマにしているのにどこかほのぼのとした雰囲気がとても良い。
主人公の老人2人が今でも「青春」しているのが素敵な作品。
でもいくらコメディとは言えイジワル婆さんのリジーの始末はちょっと酷いかな。
嗚呼、空飛ぶ電話ボックス・・・。
アイルランドの田舎の美しい風景を見ているだけでも価値のある一本。
パブのシーンが多くて(実に素晴らしい)、ギネスが飲みたくなった。
◆「私が愛したギャングスター」 ORDINARY DECENT CRIMINAL
監督:Thuddeus O'Sullivan サディウス・オサリヴァン
主演:Kevin Spacy ケヴィン・スペイシー
80年代から90年代にかけてダブリンに実在した大泥棒マーティン・カーヒルを
モデルに彼が実際に行った犯行を下敷きして作られた作品。
主演のケヴィン・スペイシーがハマっています。
渋くて、痛快で、カッチョ良い映画です。
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